透析患者の合併症
透析治療を行うことは患者の生命維持に必要ですが、様々な合併症のおそれがあります。
全ての合併症が生命に危険を及ぼすわけではないものの、正しい対策を理解しておくことが大切です。
人工透析で、最も多い合併症が不均衡症候群です。
急激に体内から老廃物を除去することが原因で、全身を循環する細胞液の濃度バランスが崩れてしまいます。
その結果として頭痛、吐き気、けいれんなどを引き起こします。
対策としては、透析治療を緩やかに時間を掛けて行うことで予防が可能です。
また、日頃の食事制限で水分や塩分を控えることも有効です。
生命への危険が高い合併症としては、心不全が挙げられます。
慢性腎不全の患者の死因の第一位であり、透析治療中でも心不全には予断を許しません。
心不全を引き起こしてしまう理由は、腎機能の低下によって心臓や血管に負担が掛かってしまうためです。
心臓へ栄養素を送る機能も低下してしまいますので、狭心症や心筋梗塞のリスクも高まります。
対策としては、日頃から血圧をしっかりとコントロールすることが必要です。
また、腎不全に罹るとビタミンDの体内産出が衰えるため、ビタミンDにより人体に吸収されるカルシウム量も低下します。
そのため、骨や関節に異常が起こりやすくなります。
現在では活性型ビタミンD剤が透析患者向けに処方されていますので、腎不全に罹ったら服用するようにしましょう。
透析患者にとって合併症の危険性は隣り合わせですから、普段の日常生活から節制するようにしてください。